税の豆知識

2007年1月号『所得税 『所得税 その3-利子所得の続き』


今年もおわりです。といいますか、これが載るときはもう新年ですね。
あけましておめでとうございます。

前回は利子所得について述べました。
今回は、その続きで、前回説明し忘れたことを補足させていただきます。




前回、自分が経営する会社に貸付金がある場合、たとえ利息をとっても雑所得となり、この雑所得にかかる必要経費はありませんから、利息金額がそのまま所得となり総合課税の対象となってしまう旨説明しました。

貸付金といいましても、現金を直接会社に投入している場合のほか、もらうべき役員報酬をもらわずにして、その未収分を貸付金として決済している場合も同様です。中小企業の場合こちらのケースのが多いかもしれません。

総合課税ですと、累進課税となり、以下の表の税率で課税されます。

◆ 所得税の速算表
課税される所得金額(千円未満切捨て)税率控除額
330万円以下10%0
330万円超〜900万円以下20%33万円
900万円超〜1,800万円以下30%123万円
1,800万円超37%249万円

(注)例えば「課税される所得金額」が650万円の場合には、求める税額は次のようになります。
650万円×0.2−33万円=97万円

なお、平成19年分からは、次の様に改正されます。

課税される所得金額(千円未満切捨て)税率控除額
195万円以下5%0
195万円超〜330万円以下10%97,500円
330万円超〜695万円以下20%427,500円
695万円超〜900万円以下23%636,000円
900万円超〜1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超40%2,796,000円

ところでこれに対するいい対策方法があります。
利子所得は源泉分離課税で20%の課税ですみます。そこで「少人数私募債」を利用するのです。

少人数私募債とは、株式会社が、銀行抜きで無担保で5億円まで資金を調達できる、株式会社にとっては非常に便利な資金調達法です。一般の社債が不特定多数の人を対象にするのに比べ、特別縁故者(社債権者の数は49名までが限度)を対象とするため、社債権者は全て顔が見える人達であり、会社にとっては、「理解者」であり「協力者」である点が一般の社債とは根本的に異なります。少人数私募債は、取締役会で議決するだけで発行でき、償還期間や利率、発行金額など、自由に取り決められるなど、取扱がいたってシンプルな社債で、複雑な届出等一切必要ない、便利な社債です。

社債の利息では20%の源泉所得税を徴収、社債利息を支払った翌月10日に、15%を国税に、5%を地方税として納付して課税は完結します。支払調書を提出する義務もありません。くどいですが、それに対して、会社へ社長等が貸付けた場合に支払う金利には、「支払調書」を提出し、雑所得として総合課税し、確定申告することになります。

社長等の高額所得者は是非利用したい制度です。

少人数私募債に関してのメリットはほかにもいろいろあります。今回は利子所得の観点のみから説明しましたが、興味のある方は一度検討してみたらいかがでしょうか。

それではよろしくお願いします。




2007年の目次

12月号『所得税-その14…山林所得』
11月号『所得税-その13…退職所得2』
10月号『所得税-その12…退職所得』
9月号『所得税-その11…給与所得2』
8月号『所得税-その10…給与所得』
7月号『所得税-その9…不動産所得2』
6月号『所得税-その8…不動産所得』
5月号『所得税-その7…個人から法人へ(法人成り)』
4月号『所得税-その6…事業所得(青色申告)』
3月号『所得税-その5…事業所得』
2月号『所得税-その4…配当所得』
1月号『所得税-その3…利子所得の続き』
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