税の豆知識

2007年2月号『所得税 『所得税 その4-配当所得』


平成19年となりました。いよいよ確定申告の時期がやってきました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
今回は配当所得について述べたいと思います。




配当所得とは、株主が法人から受ける配当などによる所得のことです。

会社や組合、あるいは信用金庫等に出資していれば、利益の配当を受けることができる可能性があります。可能性があるというより、赤字では通常、剰余金の分配としての配当は期待できませんが、利益が出ていれば、まず配当を受けられると思っていいでしょう。利益が1000万円出たら、通常なら法人税を約43%の430万円払い、残りの金額を配当可能利益(商法では株主の有限責任制に伴い、債権者を保護するため、会社の財産が不当に流出することがないよう、配当可能利益の限度額を定めています。)の範囲内で株主なり出資者に配当をします。

しかし同族会社で、社長やその親族が自己の主宰する会社の株のほとんどを持っているようなケースでは、配当は法人税の計算上の損金(費用)にならないため、ほとんど行わない傾向にあります。上記の例ですと、利益1000万円分を役員報酬としてとってしまい、利益0、法人税0としてしまうケースが多いわけです。もちろん役員報酬は増額するのでその分所得税は増えますが、要は所得税が多いか法人税が多いかで損得を考えるわけです。

そのような同族会社が配当をするというのは「留保金課税」対策のケースが多いでしょう。留保金課税とは、簡単に言いますと、利益が出ても配当なり役員賞与なりで利益処分の社外流出をしないと、「会社が利益を抱え込んでいるペナルティー」として追加の税金が課せられるものです。それを避けるため「仕方がないので配当している」ケースが多々あるように見受けられます。

話が横道にそれてしまいましたので本題に戻しますと、配当所得については、原則として、上場株は10%、未上場株式の配当等の場合は20%の税率で源泉徴収が行われます。ただし、上場株の配当に対する税率は、2008年4月からは20%となる予定です。

また、配当所得は原則として総合課税の対象となりますが、上場株の場合には、確定申告が不要とされます。

ただし、確定申告により、配当控除を利用して税金の控除・還付が受けられる可能性がありますので要チェックです。たとえば、課税総所得金額(総合課税の対象となる所得金額)が330万円以下の人で、20%の源泉徴収をされている配当所得があるような場合には、総合課税の税率が最低の10%ですので、確定申告をすることにより、税額控除の一つである配当控除(配当等について課税された法人税と所得税との二重課税を調整するための控除)を適用して、配当金の10%の税額控除をし、余分に源泉徴収されている10%部分の金額の還付が受けられるというわけです。

それではよろしくお願いします。




2007年の目次

12月号『所得税-その14…山林所得』
11月号『所得税-その13…退職所得2』
10月号『所得税-その12…退職所得』
9月号『所得税-その11…給与所得2』
8月号『所得税-その10…給与所得』
7月号『所得税-その9…不動産所得2』
6月号『所得税-その8…不動産所得』
5月号『所得税-その7…個人から法人へ(法人成り)』
4月号『所得税-その6…事業所得(青色申告)』
3月号『所得税-その5…事業所得』
2月号『所得税-その4…配当所得』
1月号『所得税-その3…利子所得の続き』
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