税の豆知識2007年8月号『所得税 その10-給与所得』今回は給与所得に移りたいと思います。 給与所得とは、サラリーマンなどが勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。 その計算方法は 収入金額(源泉徴収される前の金額)−給与所得控除額=給与所得の金額 となっています。事業所得などの商売をしている人には経費が認められるのに、サラリーマンには経費が認められない、その不公平を調整する意味からこの給与所得控除があるのです。 給与所得控除は、給与等の収入金額に応じて、次のようになります。
よくパートさんが103万円以下に抑えて仕事をしますが、それは給与収入が103万円ですと給与所得は38万円となり、だんなさんの控除対象配偶者となるからです。控除対象配偶者とは自己の妻(夫)で、前年の12月31日(配偶者が死亡した場合は死亡日)現在で生計を一にしており、前年中の合計所得金額が38万円以下である人をいうからです。 次に、サラリーマンは経費が認められないといいましたが、特定支出控除というものがあります。これは、給与所得者が特定支出をした場合、その年の特定支出の合計額が給与所得控除額を超えるときは、その超える金額が給与所得控除後の金額から差し引ける制度です。 この特定支出とは、給与所得者が支出する次のものです。
しかしこの制度は人気がなく、事実私も実務で適用したことがありません。少ないだろうと思いながら調べてみると、小泉前総理の答弁書に、 「特定支出控除を選択して申告した者の数は、平成九年分が一人、平成十年分が三人、平成十一年分が三人、平成十二年分が七人、平成十三年分が四人となっている。特定支出の範囲は、諸外国の類似の制度とおおむね同等であると考えるが、その一方で、特定支出控除を選択して申告した者が少ないのは、給与所得控除の水準が高いためであると考えられる。」とありました。しかし給与所得控除よりも1から5が多い人の数はそんなものではないと思います。おそらくこんな制度があることを知らないのではないでしょうか。 あと会社の社長さん以下役員が受ける役員報酬も給与所得となります。ですから個人事業主が法人成りしたら、自分の会社から役員報酬を毎月とることになるのですが、その場合も給与所得になります。その給与所得控除を利用することの規制がかかったことの解説は第10回で触れています。ご参照ください。 次回は「こんなの給料じゃないよ」と思えてしまうものまで、給与所得として課税されてしまうケースなどを解説いたします。 2007年の目次
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