税の豆知識2007年12月号『所得税 その14-山林所得』いよいよ寒さも本格的ですね。インフルエンザが流行っています。皆様いかがお過ごしでしょうか。 今回は山林所得について述べたいと思います。 山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木(りゅうぼく)のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。 要は立木を売って得た収入のことを言いますが、この立木を育てるには非常に時間がかかります。例えば家に使われるスギ、ヒノキの柱でしたら、植えてからおよそ40年もかかり、その間手入れに手間暇かかります。収入は木を売ったときに一度に入りますが、その他の事業所得などのような所得とは比較にならないほど長い年月をかけて得た所得ですから、税金面にでも差別化がはかられており、退職所得や譲渡所得に似た税制となっています。 山林所得の金額は、次のように計算します。 総収入金額−必要経費−特別控除額(最高50万円)=山林所得の金額
そしてその税額の計算方法は、他の所得と合計せず、他の所得と異なった計算方法により税額を計算し確定申告することになります。 これは、5分5乗方式といわれるもので、次のように計算します。 [ 課税山林所得金額 ×1/5× 税率 ] × 5 まず5で除すので低い税率が適用される。それに5を乗じる。結果的には税額が安くなる仕組みです。 所得税は、各種所得金額を合計し総所得金額を求め、これについて税額を計算して確定申告によりその税金を納める総合課税が原則です。しかし、一定の所得については、他の所得と合計せず、分離して税額を計算し確定申告によりその税金を納める申告分離課税制度が採られています。 例えば、この山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等、一定の先物取引による雑所得等が、申告分離課税となっています。 これも総合課税で他の事業所得や給与所得などの単年度の所得と合算して税率をかけるのは不適切だからです。くどいですが、長年かけた結実としての所得だからです。 私は5分5乗方式ではまだ不公平だと思っています。木を育てる期間は5年ではとても足りない。その木を育てた年数で除してその年数をかける。10年なら10分10乗方式20年なら20分20乗方式にしなければおかしいと思います。 ただ、最近は木の値段は安いですから、5で割って330万円以上の収入がある場合というケースは少ないようです。50年経ったヒノキ、1ha分を売って手元に残るお金が280万円にしかならないそうですから、五分しなくても税率は10%。これでは100分100乗でも一緒ですからあまり意味がないですね。でもそれとこれとは話が別ですから、筋は通してほしいものです。 今日はここまで。 2007年の目次
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