税の豆知識

2007年7月号『所得税 その9-不動産所得2』


6月は比較的のんびりと仕事できると思っていましたが、なんだかんだで結局相変わらずの忙しさとなってしまいました。まあ忙しいとはいいことです。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

今回も不動産所得の話です。
前回は不動産所得の基本的な解説をさせていただきました。今回は更に突っ込んだ話をさせていただきます。




不動産所得も事業的規模の場合には青色申告をお勧めします。事業的規模とは、貸すことのできる室数が10室以上か、独立家屋の貸付けが5 棟以上であれば、事業的規模と認められます。正確にいいますと以下のとおりです。

所得税基本通達26-9
(建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定)

建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきであるが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り、事業として行われているものとする。

1.貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること
2.独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること


これらは一般的に5棟10室基準(ごとうじゅっしつきじゅん)と言われています。

青色申告特別控除とは・・・
不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる青色申告者で、 これらの所得の金額に係る取引を正規の簿記の原則、一般的には複式簿記により記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表を損益計算書とともに 確定申告書に添付して確定申告期限内に提出している場合には、原則としてこれらの所得を通じて最高65万円を控除することを認めるというものです。

不動産収入が何千万だろうが数百万程度だろうが、事業的規模でしたら青色申告特別控除は同じ65万円なのです。5棟とか10室程度でお金の動きが少なければそれだけ記帳は楽。それでいて65万円控除は受けられる。もうこれ以上解説はいりませんね。

次に青色事業専従者給与をぜひ利用したいものです。
不動産所得がある個人が青色申告を行なっているとき、一定の条件を満たす家族従業員について「青色事業専従者給与の届出」をあらかじめ税務署に提出した場合には、家族従業員に対して支払った給与を必要経費とすることが可能で、このような給与を「青色事業専従者給与」と呼びます。ただしこの場合も同様に、不動産の貸付けが「事業的規模」に達していることが必要となります。

もちろん給与として払うわけですから、その額が一人に対して年間103万円を超えると、その受け取る家族は給与収入となり給与所得として課税されます。専従者給与として1円でも支払えばその人は扶養家族にはできませんから、最低扶養控除(通常38万円)以上支払わないと意味がなくなりますね。
かといって仕事の内容にくらべて多額に支給してしまいますと、経費として認められません。赤の他人だったら5万円程度しか支払わない仕事内容なのに、50万円を支払っても5万円分ぐらいしか経費として認められないということです。

それではよろしくお願いいたします。




2007年の目次

12月号『所得税-その14…山林所得』
11月号『所得税-その13…退職所得2』
10月号『所得税-その12…退職所得』
9月号『所得税-その11…給与所得2』
8月号『所得税-その10…給与所得』
7月号『所得税-その9…不動産所得2』
6月号『所得税-その8…不動産所得』
5月号『所得税-その7…個人から法人へ(法人成り)』
4月号『所得税-その6…事業所得(青色申告)』
3月号『所得税-その5…事業所得』
2月号『所得税-その4…配当所得』
1月号『所得税-その3…利子所得の続き』
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