税の豆知識

2007年6月号『所得税 その8-不動産所得』


3月決算の5月申告も終わりに近づきました。バタバタするなと覚悟はしていたものの、案の定忙しかったです。来月こそはゆったりと過ごしたいものです。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

今回は不動産所得の話をしたいと思います。




不動産所得とは、次のものの貸付けによる所得をいいます。

  1. 土地や建物などの不動産
  2. 地上権などの不動産に設定されている権利
  3. 船舶や航空機

2や3はあまり馴染みはありませんが、1はよくありますね。すぐ頭に浮かぶのはアパートの大家さん。駐車場を貸している人でしょう。しかし会社経営をされている方は、自分の個人の土地・建物を自分の会社に貸しているケースが多く、その場合にもこの不動産所得が発生いたします。もちろんタダで貸してもいいのですが、固定資産税や借入の利息等の経費が全く生かされないので、家賃を若干でも取るパターンが多いようです。もちろん給与で取るか家賃で取るかの有利不利を判定をした上でですが。

不動産所得の金額は、次のように計算します。

総収入金額−必要経費=不動産所得の金額

総収入金額には、資産の貸付けの賃貸料収入のほかに、次のようなものも含まれます。

  1. 名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受領するもの
  2. 敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
  3. 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など

賃貸料収入は、不動産所得の収入金額は、賃貸借の契約などによってその年の1月1日から12月31日までの間に収入すべき金額として確定した家賃、地代、賃貸料などの金額です。それらの収入計上時期は次のとおりです。

  1. 地代・家賃、共益費などその支払方法についての契約内容により原則として次のようになります。
    イ 契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日
    ロ 支払日が定められていない場合は実際に支払を受けた日。
      ただし、請求があったときに支払うべきと定められているものは、請求の日

  2. 上記以外のもの 家屋又は土地を賃貸することにより受け取る権利金や礼金は、貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引渡しのあった日、 引渡しを必要としないものについては、契約の効力発生の日の収入に計上します。
    このほか、名義書換料、承諾料、頭金などの 名目で受け取るものについても同様です。
    また、敷金や保証金は、本来預り金ですから受け取っても収入金額にはなりませんが、 返還を要しないものは、返還を要しないことが確定した都度収入に計上する必要があります。

ですから、例えば家賃が3ヶ月滞納されたまま12月となり不動産所得の計算をする際には、あくまで契約で「翌月分を当月末までにし支払う」としていれば、回収していなくても、収入すべき金額、として未回収分も収入として計算しなければなりません。回収不能が確実になったときに損失とするわけです。この損失処理の仕方もその不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、 取扱いが異なります。

また消費税に関しましては、居住用不動産の賃貸は非課税ですが、事務所や店舗ですと課税となります。駐車場に関しては、駐車場としての地面の整備又はフェンス、区画、建物の設置などをして駐車場として利用させる場合には課税となります。消費税についてはこの豆知識の第2〜4回を参照してください。

必要経費となるものは、不動産収入を得るために必要な費用で、主なものとして次のようなものがあります。

  1. 賃貸住宅の固定資産税
  2. 賃貸住宅に係る損害保険料
  3. 賃貸住宅の減価償却費
  4. 賃貸住宅の修繕費

青空駐車場の場合などは、固定資産税ぐらいなものでしょう。それを借入して取得したならば、そのほかの経費として利息があるぐらいなものです。これもよくあるパターンで、一般的に経費が少ないのが不動産所得の特徴です。安定収入の典型といえましょう。

これらの総論を踏まえて、次回は各論に入りたいと思います。




2007年の目次

12月号『所得税-その14…山林所得』
11月号『所得税-その13…退職所得2』
10月号『所得税-その12…退職所得』
9月号『所得税-その11…給与所得2』
8月号『所得税-その10…給与所得』
7月号『所得税-その9…不動産所得2』
6月号『所得税-その8…不動産所得』
5月号『所得税-その7…個人から法人へ(法人成り)』
4月号『所得税-その6…事業所得(青色申告)』
3月号『所得税-その5…事業所得』
2月号『所得税-その4…配当所得』
1月号『所得税-その3…利子所得の続き』
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