税の豆知識

2008年10月号『固定資産税』


にわかに涼しくなりました。朝は寒いぐらいです。皆様いかがお過ごしでしょうか。

前回は住民税について述べました。
今回は固定資産税について述べてみたいと思います。




固定資産税は土地・家屋・償却資産(これを総称して固定資産といいます)を所有している人に、その固定資産の価値(評価額)に応じて負担する市町村税で、東京23区内にある固定資産については、都が都税として課税しています。

〔土地〕 田、畑、宅地、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地
〔家屋〕 住宅、店舗、工場、倉庫、その他の建物

その他、償却資産税も固定資産税の一種です。これは構築物、機械、装置、工具、器具、備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税又は所得税で減価償却の対象となる資産にかかります。ただし、自動車税、軽自動車税の課税対象となるものは除きます。フォークリフトなどでナンバーがあれば自動車税がかかり、なければ償却資産税がかかるというわけです。
土地・家屋は賦課される税金ですが、償却資産税は申告する税金です。今回は割愛させていただきます。

ポイントは以下の3点です。

■納める方
1月1日現在、土地、家屋及び償却資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方

■納める額
○土地・・・課税標準額(「下記の土地の課税標準額の算出方法」参照)× 税率1.4%
○家屋、償却資産・・・課税台帳に登録されている価格 × 税率1.4%

■納める時期と方法
6月、9月、12月、2月の年4回で、第1期の納付月にお送りする納税通知書によって、各納期に納めます。なお、土地、家屋については、納税通知書と同時に課税明細書をお送りしています。


1月1日現在の所有者に課税されることから、土地等を売買すると、売主が買主分の固定資産税も納税していることとなる。そのような不公平を解消するため、売買契約の際、固定資産税を日割りで算出し、買主が売り主に対して買主分の固定資産税相当額を支払うのが慣例となっています。

それでは詳細に説明します。


地目田、畑(併せて農地といいます。)、宅地、山林、雑種地などをいいます。固定資産税の評価上の地目は、登記簿上の地目にかかわりなく、その年の1月1日(賦課期日)の現況の地目によります。
地積原則として登記簿に記載されている地積によります。
価格総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき、地目別に定められた評価方法により評価し、市町村長がその価格を決定し、固定資産課税台帳に登録されたものです。
平成20年度の価格の修正土地については、3年ごとに価格の見直しを行います。これを評価替えといい、原則として評価替え後の2年間は価格が据え置かれます(平成18年に評価替えを実施しました)。しかし、近年の地価下落を反映し、18年度以降においても、引き続き地価下落傾向が続いて価格を据え置くことが適当でないときは、市町村長の判断において、簡易な方法により価格に修正を加える特例措置が講じられることになっています。
住宅用地の課税標準額の
特例措置
宅地には、住宅やアパートなどの敷地となっている「住宅用地」と、店舗や工場などの敷地となっている「非住宅用地」があります。住宅用地については、住宅政策上の観点からも特に税負担を軽減する必要性があるので、下記のように「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」に区分され、課税標準の特例措置が設けられています。
小規模住宅用地200 m2 以下の住宅用地(200 m2 を超える場合は住宅1戸あたり200 m2 まで)を小規模住宅用地といい、課税標準額については、価格の6分の1の額とする特例措置があります。
一般住宅用地小規模住宅用地以外の住宅用地を一般住宅用地といいます。たとえば、300 m2 の住宅用地(一戸建住宅の敷地)であれば、200 m2 分が小規模住宅用地で、残りの100 m2 分が一般住宅用地といい、課税標準額については価格の3分の1の額とする特例措置があります。
土地課税の基本的な考え方平成18年度〜20年度土地課税の基本的な国の考え方としては、宅地に係る固定資産税の抜本的な見直しを更に推進し、課税の公平性の観点から、負担水準のばらつきを解消するため、負担水準の低い宅地について均衡化を一層促進する措置を引き続き実施することとされています。具体的には、次のような「負担水準」により税負担を求めることとなっています。
負担水準平成19年度の税額を算出している課税標準額が、平成20年度の本来の課税標準額(本則課税標準額)にどのくらい到達しているかという数値をいいます。
土地課税の基本的なしくみ固定資産税(土地)の課税の基本的なしくみは次のようになっています。
負担水準の高い土地税負担を引き下げるか、据え置きます。
負担水準の低い土地税負担の均衡化を図る観点から、なだらかな負担増をお願いします。
本則課税標準額とは税額を算定するもとになる課税標準額は本来、評価額となりますが、住宅用地の場合は、評価額に住宅用地の特例率を乗じた額が本則課税標準額となります。具体的には次のとおりとなっています。


具体的な本則課税標準額


【固定資産税】
 小規模住宅用地・・・・ 評価額 × 1/6
 一般住宅用地・・・・・ 評価額 × 1/3
 非住宅用地・・・・・・ 評価額

【都市計画税】
 小規模住宅用地・・・・ 評価額 × 1/3
 一般住宅用地・・・・・ 評価額 × 2/3
 非住宅用地・・・・・・ 評価額


宅地の税額の計算方法

  1. 宅地の区分の判定 小規模住宅用地、一般住宅用地、非住宅用地のいずれかの区分に該当するかを判定します。
  2. 負担水準の算出 負担水準 = 平成19年度課税標準額 ÷ 平成20年度本則課税標準額 × 100(%)
  3. 課税標準額の算出 宅地の区分ごとに負担水準を負担調整措置(次回で詳述します)にて、平成20年度課税標準額を求めます。
  4. 税額の算出 平成20年度の税額 = 平成20年度課税標準額 × 税率(1.4%)


これ以上つづけますときりがありませんので、負担調整の話は次回とします。




2008年の目次

12月号『事業承継2』
11月号『事業承継』
10月号『固定資産税』
9月号『住民税』
8月号『税理士事務所のあり方』
7月号『加算税』
6月号『所得税-その20…雑所得』
5月号『所得税-その19…一時所得2』
4月号『所得税-その18…一時所得』
3月号『所得税-その17…譲渡所得3』
2月号『所得税-その16…譲渡所得2』
1月号『所得税-その15…譲渡所得』
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