税の豆知識

2008年6月号『所得税 その20-雑所得』


暑くなってきました。梅雨入り前です。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

長期にわたって続けた所得税シリーズもいよいよ最後です。
今回は雑所得を取り上げます。




雑所得は、他の所得に当てはまらない所得(公的年金等、著述業以外の者の原稿料、非営業の貸し金の利子など)です。雑所得は、次のように計算したものを合計した金額です。

  1. 公的年金等以外のもの
    公的年金等以外の総収入金額−必要経費
  2. 公的年金等
    収入金額−公的年金等控除額

まず2.ですが、公的年金等控除額とは、以下のとおりです。

◆ 公的年金等に係る雑所得の速算表(平成17年分以後)
年金を受け取る人の年齢 (a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
65歳未満 公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は、
所得金額はゼロとなります。
700,001円から1,299,999円まで 100% 700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、
所得金額はゼロとなります。
1,200,001円から3,299,999円まで 100% 1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円


ですから、例えば
64歳の父が「公的年金等の収入金額の合計額」を110万円受給している場合には、
公的年金等に係る父の雑所得の金額は、
1,100,000円×100%‐700,000円=400,000円
となります。とういうことは、この場合は父を扶養とはできません。

65歳の父が「公的年金等の収入金額の合計額」を150万円受給している場合には、
公的年金等に係る父の雑所得の金額は、
1,500,000円×100%‐1,200,000円=300,000円
となります。ですから、この場合は父を扶養とすることができます。


次に、1.公的年金等以外のものですが、他の所得に当てはまらない所得が雑所得ですから、他の所得に当てはまるか否かが問題となります。

例えば、「営利を目的とした継続的行為」なら事業所得で、そうではないのなら雑所得ということになります。これら事業所得も雑所得も、所得計算は、収入−必要経費です。その計算方法は変わりませんが、赤字の場合、事業所得なら他の所得と通算できます。しかし、雑所得なら通算できません。

さらに事業所得の赤字は3年間繰り越せますので、翌年以降の黒字と通算できます。
そういう意味で雑所得か事業所得かの区分は大切です。

また事業所得なら青色申告が可能となり、そうすれば65万円の青色申告特別控除、身内の給与が経費になる専従者給与も可能となるので、そのどちらの所得になるかの重要性はなおさらです。

手短ですが、今回は以上です。




2008年の目次

12月号『事業承継2』
11月号『事業承継』
10月号『固定資産税』
9月号『住民税』
8月号『税理士事務所のあり方』
7月号『加算税』
6月号『所得税-その20…雑所得』
5月号『所得税-その19…一時所得2』
4月号『所得税-その18…一時所得』
3月号『所得税-その17…譲渡所得3』
2月号『所得税-その16…譲渡所得2』
1月号『所得税-その15…譲渡所得』
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