税の豆知識

2008年4月号『所得税 その18-一時所得』


確定申告無事終わりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
今回は一時所得について述べたいと思います。




一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じたものでも、労務や役務の対価でもなく、更に資産の譲渡等による対価でもない一時的な性質の所得をいいます。この所得には、次のようなものがあります。

  (1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)、競馬や競輪の払戻金
  (2) 生命保険金の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金
  (3) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
  (4) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金

(1)で勘違いしてほしくないのは、宝くじの場合は、「当選金付証票法」の13条により「当選金付証票表の当選金品については、所得税を課さない」とあり、これは免税ではなく、非課税扱いになっています。よって、宝くじの当選金には一切税金がかかりません。

高額当せんした場合は「証明依頼書」でもってその事実を証明できるようにしておきましょう。その資金使途次第では税務署から問い合わせがあったときなどに役に立ちます。当せん者自身が住所・氏名・宝くじの種別・当せん金額を記入して提出すると、一番下に印刷されているみずほ銀行支店名のところに支店印を押してくれます。

(2)は実務でもよくあり、我々も確定申告の時期には関与先に「保険の満期はなかったですか」と確認します。なぜなら保険会社は税務署に支払調書という紙片でもって、いつ誰にいくら支払ったか報告しており、税務署はその事実を把握しているからです。ですから一時所得になるところを無申告でいると税務署から通知があり、それが我々の関与先なら、「何で言ってくれなかったの」となるからです。

もちろん一時所得は収入がそのまま所得ではなく、
収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最高50万円)
が一時所得となり、その1/2に相当する金額を給与所得などの他の所得と合計して総所得金額を求め、確定申告によって納める税金を計算します。
ですから、保険の満期があったからといって必ず税金が出るとは限りません。





さきほど、保険会社は税務署に支払調書を提出している旨いいましたが、この「生命保険契約等の一時金の支払調書」は、所得税法施行令第183条第2項に規定する一時金又は同施行令第347条第1項第9号に掲げる財産形成給付金、第一種財産形成給付金若しくは第二種財産形成給付金若しくは財産形成貯蓄活用給付金で1回に支払うべき金額が100万円以下である場合には、提出を要さないこととされています。

また、提出省略基準は、保険金等についての支払を受ける者の各人別に提出することになっていることから、契約者ベースでなく受取人ベースで判定することとなり、同一人に対し、複数の契約に基づき支払があった場合の「1回に支払うべき金額」とは、同一支払日かつ同一保険事由により判定することとなります。

ですから、たとえば被保険者の死亡により、死亡保険金が同一の生命保険会社の2つの契約からそれぞれ同一日に80万円と60万円の支払があった場合については、同一日に同一の保険事由に基因する支払ですから、合計140万円で判定することとなり、支払調書を提出する必要があります。

被保険者の死亡保険金が80万円、満期による保険金の60万円が同一の生命保険会社より同日に支払われた場合には、同一日に支払われていますが、保険事由が異なることから、それぞれ80万円と60万円で判定することとなり、支払調書を提出する必要はありません。

今回は以上です。次回も一時所得のつづきです。




2008年の目次

12月号『事業承継2』
11月号『事業承継』
10月号『固定資産税』
9月号『住民税』
8月号『税理士事務所のあり方』
7月号『加算税』
6月号『所得税-その20…雑所得』
5月号『所得税-その19…一時所得2』
4月号『所得税-その18…一時所得』
3月号『所得税-その17…譲渡所得3』
2月号『所得税-その16…譲渡所得2』
1月号『所得税-その15…譲渡所得』
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