税の豆知識2008年8月号『税理士事務所のあり方』今年の暑さは異常ですね。まだはじまったばかりだというのに、もういい加減夏はもう十分味わったといった感じです。皆様いかがお過ごしでしょうか。 最近「教科書的だ」というご批判もありましたので、また初心に戻ってざっくばらんに再始動したいと思います。今回は少し実務を離れ、今私が感じていることを記してみます。 開業してから私も12年目に突入してしまいました。 開業当初はあまり意識していませんでしたが、最近思うことは、顧客の税理士に対する認識が変わってきたような気がします。税理士事務所に期待することが多岐にわたってきたような気がするのです。 以前は決算や申告をプロに頼む、というのが目的であり、それがすべてといってもよかったと思います。つまり、ほとんどの税理士事務所は、いかに正確に決算申告するかに精魂を傾けていたのです。 しかし、今の時代はそんなことは当たり前のことで、それ以上が求められるようになったのではないでしょうか。例えば、経営指導できる税理士事務所が必要とされるようになったことが挙げられます。 経営相談に乗ってくれて、アドバイスをしてくれる事務所、そんなものが求められるようになりました。黒字決算をし、いかにすれば事業が発展するか。要は経営コンサルタント的な役割が求められるようになったのです。なぜなら税理士事務所は経営者にとって身近にいるし、その会社の経営状態をよく知っているからなのです。私は昔のことは知りませんが、ここ12年間の間ではそのような傾向にあったと感じます。 では身近にいて、実状を把握していれば、よい経営指導ができるのでしょうか。 流動比率をよくしたり、総資本回転率や自己資本比率をよくするように奨励する。その程度はだれでもするでしょうが、いかに売上を上げるか、いかに従業員にやる気をもたせるか、などの経営指導をできる税理士事務所は一体どれだけあるのでしょうか。私は甚だ疑問です。乱暴な言い方をすると、儲かっていない税理士事務所には、経営コンサルタント的な役割などできないと思うのです。自分ができないのに他人に言っても説得力がないですよね。コンサルタントなんてそんなものだ、といわれるかもしれませんが、私はそんなコンサルタントの言うことには耳を貸す気にはなれません。 何が言いたいかと言いますと、期待されているのに期待に添えていない税理士事務所が多いような気がします。私はそれらの期待に応えたいし、応えなければ税理士事務所の存在意義は薄れてしまうと思います。私の事務所もまだまだ未熟で、とてもよく対応できているとはいえません。 しかも顧客のニーズが多様化し、それにも対応する必要もあります。利益は出して、会社をどんどん大きくしたい、という人がいれば、現状維持でいいからなるべく税金は払いたくない、という人もいる。少しづつの拡大でいいから、細く長く事業を続けたい、という人がいれば、太く短く経営したい、という人がいる。そこには税理士事務所の、事業経営はこうあるべきだ、という一方的な考え方の押し付けはありえない。こういったニーズの多様化にもきっちりと対応していかなければなりません。 ますます税理士事務所の活躍できる場所があることに感謝し、これからも一層お客さんの期待に添える事務所を目指して、スタッフと一丸となって頑張ろうと思う所存です。 今後とも田中靖直税理士事務所をよろしくお願い申し上げます。 2008年の目次
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