税の豆知識

2006年11月号『所得税 その1-所得の種類』


秋も深まってまいりました。今年も残りを指折り数えれば、はっとしてしまいます。
今回から数回にわけて所得税について述べてみたいと思います。





所得税は個人の所得(儲け)に対する課税ですから、身近なものかもしれません。しかし所得といっても小額な利息に対する所得から、広大な個人所有の土地の譲渡まで様々です。

ですから税法は所得を次のように分類して課税方法に違いを持たせています。

1.利子所得

利子所得とは、預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得をいいます。

2.配当所得

配当所得とは、株主や出資者が法人から受ける配当や公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外の 投資信託及び特定目的信託の収益の分配などに係る所得をいいます。

3.事業所得

事業所得とは、商工業者、農漁業者、医師、弁護士、俳優、競馬騎手などのように、事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。ただし、不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は、事業所得ではなく、原則として、不動産所得や山林所得として取り扱われます。

4.不動産所得

不動産所得とは、次のものの貸付けによる所得をいいます。
 (1) 土地や建物などの不動産
 (2) 地上権などの不動産に設定されている権利
 (3) 船舶や航空機

5.給与所得

給与所得とは、サラリーマンなどが勤務先から受ける給料、賞与などの所得をいいます。

6.退職所得

退職により勤務先から受ける退職手当などの所得です。

7.山林所得

山林を伐採して譲渡したり、立木を譲渡したことによる所得です。

8.譲渡所得

土地や建物などの不動産、自動車や宝石などの動産、株式やゴルフ会員権などの債権の譲渡による所得です。

9.一時所得

生命保険の満期一時金や賞金、競馬等の払戻金などの一時的な所得です。

10.雑所得

他の所得に当てはまらない所得(公的年金等、著述業以外の者の原稿料、非営業の貸し金の利子など)です。





所得の種類によってその取り扱い(計算方法や所得控除など)が違ってきますので、まずある所得がいったいどの所得に分類されるのかを把握しなければなりません。

例えば、いわゆる有料駐車場、有料自転車置場等の所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当し、そうでない場合の所得は不動産所得に該当します。雑所得なら赤字の場合には他の所得とは通算できない(他の所得金額から赤字分の金額を控除できない)ですし、不動産所得なら事業的規模でないかぎり税務上の特典を受けられません。

他の例ですと、人を雇った場合、雇用契約に基づくものなら給与(もらう人からしたら給与所得)で、請負契約に基づくものなら外注費(もらう人からしたら事業所得の収入)となり、給与なら所得税を源泉徴収しなければなりませんし、事業所得ならそのもらう人が確定申告しなければなりません。また外注なら消費税もかかることになります。(区分しなければ税込扱いとなる)

所得の区分が難しいケースもありますが、それでもいずれかの所得に当てはめねばならないことを踏まえたうえで、次回より各種所得について詳細に解説していきます。




2006年の目次

12月号『所得税-その2…利子所得』
11月号『所得税-その1…所得の種類』
10月号『平成18年度の税制改正-その6』
9月号『平成18年度の税制改正-その5』
8月号『平成18年度の税制改正-その4』
7月号『平成18年度の税制改正-その3』
6月号『平成18年度の税制改正-その2』
5月号『平成18年度の税制改正-その1』
4月号『相続税-その5』
3月号『相続税-その4』
2月号『相続税-その3』
1月号『相続税-その2』
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