税の豆知識2006年4月号『相続税-その5』田中です。所得税の確定申告は無事終了いたしました。 残すところ消費税の確定申告です。みなさんいかがお過ごしでしょうか。 今回は前回予告いたしました、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」と「特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例」について解説いたします。 まず、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」ですが、要は、被相続人等の居住の用若しくは事業の用に供されていた宅地等は、相続人等の生活基盤維持のための不可欠なものであり、居住の継続や事業の継続ということ、また、その処分に相当の制約があることを配慮して設けられた軽減措置なのです。 特定事業用と特定居住用、それ以外の場合、それらの組み合わせにより様々なケースがあるのですが、単純に特定居住用宅地のみの場合を考えてみましょう。 この場合、選択特例対象宅地等のすべてが特定居住用宅地等である場合には、240u以下の部分が80%減額されます。 「240u以下の部分が80%減額」ですので、たとえ240u以上の土地でも、240u以下の部分を抽出して計算します。 つまり例えばA土地が、300uで30,000,000円の特定居住用宅地でしたら、240u以下の部分、つまり 30,000,000円 × 240u/300u = 24,000,000 の部分が80%減額、言い換えますと20%の評価ですから、4,800,000円となります。 そうしますとA土地全体としては240u以下の部分の4,800,000円と、 240u以上の部分の6,000,000円との合計の10,800,000円となるわけです。 次に「特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例」ですが、これも「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」と同様で、相続又は遺贈により一定の取引相場のない株式又は出資を取得した場合で、この特例の適用を受けることを選択したものについては、一定の要件のもと、当該取引相場のない株式又は出資に係る相続税の課税価格が、減額されるというものです。 その減額割合は、被相続人が相続開始直前に有していた株式又は出資のうち、相続の開始の時における発行済株式の総数又は出資の合計額の3分の2に達するまでの部分(10億円(平成15年12月31日以前の相続においては3億円)を限度)について10%減額、となっています。 その要件ですが、取引相場のない株式又は出資で次の要件をすべて満たすものとなっています。
この特例は、相続税の申告書の提出期限までに共同相続人などにより分割されていないものについては適用することはできません。(ただし、当該提出期限から3年以内に分割され、一定の要件を満たす場合には適用することができます。) 具体的な計算は、同族会社の株の評価となり、非常に専門的になってしまいますので、今回は割愛させていただきます。 上記の特典はいずれも期限内申告の恩恵と私は解釈していますし、皆さんも、いかに期限内申告が税務の上で得なのかがご理解できたかと思います。 日頃税理士に関与されている方は、当然に相続税の話題もあるでしょうけれども、そうでないサラリーマン(給与所得者)の方々は、意外と、知らない方が多いようです。つまり、相続税が出て、期限内申告をすれば様々な特典を受けられるのに、それをしていない方々が案外多いのです。もったいないことです。 それではよろしくお願いいたします。 2006年の目次
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