税の豆知識

2006年2月号『相続税-その3』


前回の続きです。
前回の例に、養子がいたとしたらどうでしょうか。

相続財産が1億円。承継する債務0円
相続人が子供2人養子1人
子Aが8000万円分、子Bが2000万円分を相続(養子は0円)と、前回の例に養子がいた場合を考えますと、その相続税額は

100,000,000円−80,000,000(基礎控除)=20,000,000

が課税遺産総額となります。各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算しますと、子Aも子B、そして養子もそれぞれ1/3ですから、
それぞれ6,666,666円となり、次の早見表により相続税の総額の基となる税額を算出します。


課税標準税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
3億円以下40%1,700万円
3億円超50%4,700万円


相続税の総額の基となる税額は
子A 6,666,000円×10%=666,600円
子B 6,666,000円×10%=666,600円
の合計で1,333,200円となります。

最後に相続税の総額を、財産をもらった人の課税価格に応じて割り振って、財産をもらった人ごとの税額を計算します。

子A 1,333,200円×80,000,000/100,000,000=1,066,560円
子B 1,333,200円×20,000,000/100,000,000=266,640円
となります。

相続人一人の差で、3,500,000円1,333,200円という差がでてきます。
これは基礎控除が10,000,000円増えるのと、税額計算の上で税率が下がることに起因しています。

遺産総額がもっと多ければ、差は当然大きくなります。みなさん電卓で5億円の場合等想定して計算してみてください。

養子縁組をすると相続税が減るのはこのためです。実子は子供を生まないと増やせませんが、養子は紙一枚で増やせます。 もちろん養子にも相続する権利がありますので、その点において節税目的で養子とするには注意が必要です。

それではよろしくお願いします。




2006年の目次

12月号『所得税-その2…利子所得』
11月号『所得税-その1…所得の種類』
10月号『平成18年度の税制改正-その6』
9月号『平成18年度の税制改正-その5』
8月号『平成18年度の税制改正-その4』
7月号『平成18年度の税制改正-その3』
6月号『平成18年度の税制改正-その2』
5月号『平成18年度の税制改正-その1』
4月号『相続税-その5』
3月号『相続税-その4』
2月号『相続税-その3』
1月号『相続税-その2』
<< BACK ▲ PAGE TOP