税の豆知識

2006年8月号『平成18年度の税制改正-その4』


今年は雨がひどかったですね。何だか嫌な天気が続きました。でもいよいよ梅雨もあけそうです。皆様いかがお過ごしでしょうか。

前回、法人税は会計上の利益に対してではなく、その利益に加減算した税務上の所得に対して課税されることを説明しました。その「損金不算入」の中でも、特に「交際費」に関しては厳しくなったり緩くなったりと、頻繁に不算入額が変わっています。




とりあえず現行税制で具体的に損金不算入額を計算してみましょう。

期末資本金1億円超・・・交際費等の額の全額

期末資本金1億円以下・・・
@ 400万円×事業年度の月数/12 に達するまでの金額の10%
A 400万円×事業年度の月数/12 を超える場合のその超える金額
の合計額

※ 事業年度の月数は通常12ヶ月。会社設立時や決算変更時など1年に満たない場合も例外的にある。

という税制ですから、例えば、
資本金1000万円の会社が300万円の交際費を使えば、損金不算入額は…300万円の10%の30万円

資本金1000万円の会社が900万円の交際費を使えば、損金不算入額は…400万円の10%の40万円プラス400万円超の部分500万円の合計540万円

ですから、たとえ会計上200万円の赤字でも交際費の損金不算入額が200万円以上あれば、課税所得が発生し法人税が出るというわけです。

くどいですが、利益0で交際費2000万円となると、それだけで、1640万円の課税所得で、その43%くらいは法人税が出るのですから、いやな話です。





それらを踏まえたうえで税制改正の話です。

交際費等の範囲から「1人当たり5,000円以下の飲食費(社内飲食費を除きます。以下同じ。)」が一定の要件の下で除外されました。

もう少し詳しくいいますと・・・飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用 ・・・は損金不算入とはならない(損金算入となる)ということです。

 なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。

  1. 飲食等の年月日
  2. 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
  3. 飲食等に参加した者の数
  4. その費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地(店舗がない等の理由で名称又は所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の名称、住所等)
  5. その他参考となるべき事項


この改正は、平成18年4月1日以後開始する事業年度分の法人税について適用されることとされています。
従来どおりの経理処理では損をしますので、確実に資料を整備しておきましょう。




2006年の目次

12月号『所得税-その2…利子所得』
11月号『所得税-その1…所得の種類』
10月号『平成18年度の税制改正-その6』
9月号『平成18年度の税制改正-その5』
8月号『平成18年度の税制改正-その4』
7月号『平成18年度の税制改正-その3』
6月号『平成18年度の税制改正-その2』
5月号『平成18年度の税制改正-その1』
4月号『相続税-その5』
3月号『相続税-その4』
2月号『相続税-その3』
1月号『相続税-その2』
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