税の豆知識2006年1月号『相続税-その2』前回に続き相続税についてお話ししたいと思います。 相続税は、相続や遺贈によって取得した財産から、承継した債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算した金額が、基礎控除額を超える場合に、その超える部分(課税遺産総額)に対して、課税されます。 この場合、相続税の申告及び納税が必要となり、その期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。 相続税の基礎控除額は、5千万円+1千万円×法定相続人の数となっています。 たとえば、法定相続人が5人の場合には、1億円が基礎控除となり、それを越える部分が課税対象(課税遺産総額)となります。つまり、基礎控除以下の遺産については、相続税がかかりません。 「相続や遺贈によって取得した財産」といってもこれがいくらかが問題となります。 いわゆる評価の問題です。現金や預貯金でしたらその評価は簡単ですが、そうではないものが数多くあります。 例えば土地ですが、この土地がいくらかとなると、いろいろな金額が考えられます。 公示価額、路線価、市の固定資産評価額、いろいろあります。 株式もそうです。上場株ならいいですが、取引相場のない中小企業の株式や出資金となると、取引が考えられないものを無理やり金額を決めざるをえない。いきおい種々の複雑な算式に頼って評価するわけです。 評価の問題は後のテーマとするとして、今回は具体的に相続税を計算してみましょう。 相続財産が1億円。承継する債務0円 相続人が子供2人のみ 子Aが8000万円分、子Bが2000万円分を相続とすると 100,000,000円−70,000,000(基礎控除)=30,000,000 が課税遺産総額となります。 そして、この課税遺産総額を、各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。 民法に定める法定相続分では子Aも子Bもそれぞれ1/2ですから、それぞれ15,000,000円となり、次の早見表により相続税の総額の基となる税額を算出します。
相続税の総額の基となる税額は 子A 15,000,000円×15%−500,000円=1,750,000円 子B 15,000,000円×15%−500,000円=1,750,000円 の合計で3,500,000円となります。 最後に相続税の総額を、財産をもらった人の課税価格に応じて割り振って、財産をもらった人ごとの税額を計算します。 子A 3,500,000円×80,000,000/100,000,000=2,800,000円 子B 3,500,000円×20,000,000/100,000,000=700,000円 となります。 この後、各種税額控除があります。またこれらの基本的仕組みをおさえておけば、養子縁組の節税が理解できます。 紙面の関係上詳細は次回でお話します。それではよろしくお願いいたします。 2006年の目次
|