税の豆知識2005年11月号『消費税の仕組み-その3』消費税について続けます。 消費税は課税事業者が申告・納付するわけですが、課税事業者は、何も基準期間(前々事業年度)の課税売上が1000万円を超える会社・個人事業主だけではありません。 たとえ1000万円を超えていなかったり、開業したばかりで基準期間がなくとも、課税事業者を届出により選択できるのです。「わざわざ課税事業者を選んで、しなくてもいい消費税申告するのはバカ」と思われるかもしれませんが(笑)、そうではありません。 第2回で説明したとおり、売上の消費税よりも、仕入・経費の消費税の方が多ければ、消費税は還付される(国が返してくれる、具体的には税務署が振込んできてくれる)のですから、場合によっては課税事業者を選択したほうが有利なのです。 よくあるケースは、賃貸物件を新築して、不動産所得(不動産を賃貸して得る利益)が発生した免税事業者でしょう。前回の話とダブりますが、 テナントの賃貸収入が税込み1050万円、 建物の建築費が3150万円とすると、 課税事業者ならば、150万円−50万円の100万円が還付されるのです。 ※居住用の不動産の賃貸収入は非課税ですので、あまりメリットはありません。 もちろんどんな業種でも、設備投資、輸出の免税等で還付はありえるのです。 また、利益的にも得となる場合もあります。 上記の例で、経費は減価償却費のみでその償却率が0.1とすると 免税事業者ならその利益は、1050万円−315万円 つまり 利益735万円ですが、 課税事業者ならその利益は、1000万円−300万円 つまり 700万円となり、 利益的にも減り、その分法人税なり所得税も減ることとなります。 このように、消費税はケースバイケースで、状況に応じて有利不利があります。 経理方法(税込経理・税抜経理)や、税込経理の場合の経費計上時期、つまり、「発生事業年度に経費にする」か、「実際消費税を納付時に経費にする」か、という選択、その他何かと考慮すべきことが多く、意外とデリケートな税制です。 また、課税事業者を選択したら、原則2年は課税事業者とならなければならないですから、翌年の消費税額を予想して、有利不利を判断しなければなりません。 2005年の目次
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