木の葉隠れの「恋」

「恋というものの究極は忍ぶ恋である。こんな歌がある。『恋ひ死なむ後の煙にそれと知れ終にもらさぬ中の思ひは』これが恋というものだ。生きている内に恋していると告げるのは本当の恋ではない。恋い焦がれ、思いに思って死ぬような恋が本物だ。相手より『私を好きですか?』などと問われても、『まったくそんなことはありません』などと云って、思って死ぬような恋が究極なのだ。恋とはかくも面倒なものなのだ。・・・主従の間の関係もこのようにありたいものだ云々」
(葉隠聞書二の三三)