平成19年6月1日号

事務所便り

減価償却制度の改正

@残存価額の廃止

平成19年4月1日以降に取得する減価償却資産について、残存価額(取得価額の10%)を廃止する。

A償却限度額の廃止

平成19年4月1日以降に取得する減価償却資産について、耐用年数経過時点に「残存簿価1円」まで
 償却できることとする。

平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、償却可能限度額取得価額の95%)まで     償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で均等償却できることとする。

B250%定率法の導入

平成19年4月1日以降に取得する減価償却資産について、250%定率法を導入する。

250%定率法とは、定額法の償却率に250%を乗じた率をもって定率法の償却率とする方法であり、
設備投資資金の早期回収が期待できます。

平成19年度税制改正において、減価償却制度について抜本的な見直しが行われました。

具体的計算方法

○定額法

(取得原価 1,000,000円、耐用年数10年の減価償却資産を取得した場合)

定額法の償却率 0.100

○定率法

定率法の償却率 0.25

年数 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目
期首簿価 1,000,000 900,000 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000
減価償却費 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 99,999
期末簿価 900,000 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 1

※10年目における計算上の減価償却費は100,000円ですが、残存簿価が1円になりますので、
実際の償却額は99,999円になります。

年数 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目
期首簿価 1,000,000 750,000 562,500 421,875 316,407 237,306 177,980 133,485 88,902 44,319
採用される減価償却費額 250,000 187,500 140,625 105,468 79,101 59,326 44,495 44,495 44,495 44,494
償却方法 定率法 定額法
残存年数(A) 9年 8年 7年 6年 5年 4年 3年 2年 1年 0年
定率法の減価償却費 250,000 187,500 140,625 105,468 79,101 59,326 44,495 33,371 - -
期末簿価(B) 750,000 562,500 421,875 316,407 237,306 177,980 133,485 88,990 44,495 1
均等償却額(B/A) 83,333 70,312 60,267 52,734 47,461 44,495 44,495 - - -

※7年経過時点での期末簿価 133,485円に対する均等償却額が 44,495円となり、
  8年目の定率法の減価償却額 33,371円を超えることとなるため、8年目より定額法に切り替え、
  8〜10年の各期において 44,495円の減価償却費を基礎とし、10年目において、残存簿価1円まで償却できます。

 定率法を採用する場合には、定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回るときに、
償却方法を定率法から定額法に切り替えて減価償却費を計算し、耐用年数経過時点には備忘価額として1円
残すこととなります。

旧   法:減価償却費の計算は残存価額10%、税法上の償却可能限度額は95%として計算
新   法:残存価額及び償却可能限度額を廃止するとともに、250%定率法を新設
適用開始:平成19年4月1日以降取得する減価償却資産について

新旧償却率

耐用年数 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年
定額法 0.500 0.333 0.250 0.200 0.166 0.142 0.125 0.111 0.100
改定前定率法 0.684 0.536 0.438 0.369 0.319 0.280 0.250 0.226 0.206
250%定率法 1.000 0.833 0.625 0.500 0.416 0.357 0.312 0.312 0.250

 今回の改正で、減価償却費の早期計上が可能となりましたが、とても複雑なものになっております。
ご不明な点、ご質問等ありましたら、お気軽に当事務所にお尋ねください。