税の豆知識2009年1月号『減価償却』あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 みなさまいかがお過ごしでしょうか。 いよいよ平成21年ですね。西暦2009年です。 今年は未曽有の大不況。税金対策どころではないという会社、個人事業者が多いと思います。 しかし、そんな時だからこそ、今一度基本に戻って、経営の本質に立ち返ってみたいものです。 不況の時は経営コンサルタントがはやります。経営者は自分に自信がないため、人に頼るわけです。そんなのなら経営者などやめてしまえばいいですね。さあ皆さんは自分の経営手腕を信じて、本年度もがんばってください。 もちろん売上高が激減すれば、コスト削減などの経営努力にも限界があります。いかに売上を回復するか固定費を削減するか考えないといけません。 今回は税金と関係する減価償却について触れます。 減価償却減価償却は「法人は任意、個人は強制」といいます。どういうことかと言いますと、税務上、法人は減価償却してもしなくてもいいが、個人事業主の場合には必ずしなくてはならないということです。 減価償却は以前に説明した・・・と思いましたらまだ詳しく解説していないようですね。 減価償却には定率法と定額法があります。建物は定額法、その他の機械や車両等は届出により選択できますが、届出しない場合、法人は定率法、個人は定額法が強制されます。 定額法定額法とは、次の算式により計算した金額を各事業年度の償却限度額とする方法です。
(算式)
(注)「定額法の償却率」は耐用年数省令別表第八に規定されています。定額法の償却限度額=取得価額×定額法の償却率(注) (例) 取得年月日 平成19年4月1日(3月決算法人) 取得価額 100万円 耐用年数 8年 定額法の償却率 0.125 なお、各事業年度の償却費の額は償却限度額相当額とします。(単位:円)
(注)8年目における計算上の償却限度額は125,000円ですが、残存簿価が1円になりますので、結果として、実際の償却限度額は124,999円になります。 定率法定率法とは、次の算式1により計算した金額(以下「調整前償却額」といいます。)を各事業年度の償却限度額とする方法です。ただし、調整前償却額が償却保証額(注1)に満たない場合は、次の算式2により計算した金額が各事業年度の償却限度額となります。
(算式1) 定率法の償却限度額=(取得価額−既償却額(注2))×定率法の償却率(注3) (算式2) 調整前償却額が償却保証額に満たない場合の定率法の償却限度額 =改定取得価額(注4)×改定償却率(注5) (注1) 「償却保証額」とは、減価償却資産の取得価額にその減価償却資産の耐用年数に応じた保証率(耐用年数省令別表第八に規定されています。)を乗じて計算した金額です。 (注2) 「既償却額」とは、前事業年度までに損金の額に算入された償却費の累積額です。 (注3) 「定率法の償却率」は耐用年数省令別表第八に規定されています。 (注4) 「改定取得価額」とは、原則として、調整前償却額が最初に償却保証額に満たなくなる事業年度の期首未償却残高をいいます。 (注5) 「改定償却率」は耐用年数省令別表第八に規定されています。 (例) 取得年月日 平成19年4月1日(3月決算法人) 取得価額 100万円 耐用年数 8年 償却率 0.313 改定償却率 0.334 保証率 0.05111 (償却保証額51,110円) なお、各事業年度の償却費の額は償却限度額相当額とします。(単位:円)
(注)8年目における計算上の償却限度額は51,113円ですが、残存簿価が1円になりますので、結果として、 実際の償却限度額は50,806円になります。 これらの償却は、法人はしてもしなくてもよいわけです。 ですから、税務上損失が生じた場合、償却をやめたらやめた分、黒字になるわけです。 「別に欠損金は7年間繰り越せるのだから、どっちでも同じじゃん」という人がいますが、違います。7年過ぎて消える欠損金がある場合には償却をやめて黒字にし、消えるはずの欠損金を利用すべきだと思います。 些細なことですが、金額が大きい場合には決して馬鹿に出来ないです。ご注意ください。 その他、生産高比例法とリース期間定額法という減価償却方法がありますが、次回に回します。
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